注文住宅を購入してマイホームを手に入れた後、長い間快適に住み続けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。しかし、メンテナンス時期や必要な作業内容を把握していないと、適切なタイミングで適切な処置を施すことが難しくなります。そこで本記事では、注文住宅の外壁と内装のメンテナンス時期について、築年数ごとに解説します。
建物のメンテナンス時期
注文住宅を建てたら、ただ住むだけで安心ではありません。家を長持ちさせ、快適な暮らしを守るためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。建物のメンテナンスは、大きく分けて「構造体」「屋根」「外壁」「内装」の4つの要素についておこなう必要があります。
構造体
家全体を支える構造体は、普段目にすることがありませんが、定期的な点検が重要です。とくに、地震や台風などの自然災害の後は、異常がないか必ずチェックしましょう。
土台や柱、梁などの構造体は、建物の基礎となる重要な部分です。もし腐食や傷みなどが発見された場合、早急な補修が必要となります。
放置してしまうと、建物の傾きや倒壊などの重大な事故に繋がる可能性も考えられます。とくに防蟻処理は新築を建ててから5年〜10年ごとにおこないましょう。
屋根
太陽の光や雨風を直接受ける屋根は、劣化が早いため定期的なメンテナンスが必要です。屋根のメンテナンス時期は、新築から10年目、20年目、30年目などが目安です。屋根材の種類や状態によって異なりますが、一般的には10年ごとに塗装をおこない、20年目には葺き替えを検討する必要があります。
屋根の劣化は、雨漏りの原因となります。雨漏りは、建物の構造体を傷めたり、カビや腐食を発生させたりするだけでなく、シロアリ被害を引き起こす可能性もあります。また、屋内への雨漏りは、天井や壁のシミやカビ、電気系統の故障など、生活に支障をきたす問題にも繋がります。
外壁
外壁は、建物の美観だけでなく、雨風や紫外線から家を守る役割も担っています。外壁のメンテナンス時期は、新築から10年目、20年目などが目安です。外壁材の種類や状態によって異なりますが、一般的には10年ごとに塗装をおこない、20年目には全面的な補修を検討する必要があります。
外壁の劣化は、ひび割れや塗装の剥がれ、防水性の低下などが起こります。放置してしまうと、雨水が浸透し、建物の構造体を傷めたり、カビや腐食を発生させたりする可能性があります。また、外壁の美観が損なわれることで、建物の価値が下がることも考えられます。
内装
内装は、壁紙や床材、建具など、日常的に目にする部分です。内装のメンテナンス時期は、新築から5年目、10年目、20年目などが目安です。汚れや傷、劣化の程度によって異なりますが、5年目には部分的な補修、10年目には全面的な張替えを検討する必要があります。
内装の劣化は、美観的な問題だけでなく、衛生面にも影響を与えます。壁紙や床材の汚れや傷は、カビやダニの繁殖の原因となります。また、建具の不具合は、開閉が困難になったり、隙間から虫が入ってきたりするなどの問題を引き起こす可能性があります。
住宅設備のメンテナンス時期
注文住宅は、自分たちの希望に沿った間取りやデザインを実現できる夢のマイホームです。しかし、建てただけでは安心できません。住宅設備機器は、それぞれ耐用年数というものがあり、適切な時期にメンテナンスをおこなうことが大切です。
水回り設備は、毎日の生活に欠かせないものです。 キッチン、浴室、トイレ、洗面化粧台などの水回り設備は、使用頻度が高く、劣化しやすい傾向があります。キッチンのメンテナンス時期は、約10年目です。
キャビネットの蝶番や建て付け調整、水栓金具の交換、レンジフードの点検・交換、コンロの点検・交換、食洗機の点検・交換などが主なメンテナンス項目です。また浴室のメンテナンス時期は、約10年目です。
目地シーリングの打ち替え、水栓金具の交換、照明器具・換気乾燥機の点検・交換、浴室ドアの点検・交換などが主なメンテナンス項目です。トイレのメンテナンス時期は、約15年目です。
温水洗浄便座の点検・交換、便器・タンクの点検・交換などが主なメンテナンス項目です。また洗面化粧台のメンテナンス時期は、約15年目です。 洗面化粧台の点検・交換などが主なメンテナンス項目です。
水回り設備の各部材(コンロやレンジフード、換気乾燥機、温水洗浄便座など)を単独で交換することも可能です。給湯器の交換時期は約10〜15年と言われています。 給湯器は、お湯を沸かすための重要な設備です。
給湯器が故障すると、お湯が出なくなり、日常生活に支障をきたす可能性があります。 給湯器の調子が悪くなったり、10年を経過した場合は、専門業者に点検してもらいましょう。
新築10年目の重要性
注文住宅のメンテナンスにおいて、新築10年目はとくに重要です。その理由は以下の2つがあります。
瑕疵担保責任保険の期限
新築10年目までの間は、瑕疵担保責任保険が適用されます。瑕疵担保責任保険とは、住宅の建築に欠陥があった場合に、建築業者が補修する費用を保険金で支払うものです。
この保険によって、建築後の安心感が得られます。建築後の欠陥が見つかった場合、保険金を受け取るためには、保険期間内であることや、適切な手続きを取ることが必要です。
建物の劣化の兆候
新築から10年経過すると、建物の劣化の兆候が現れ始めることがあります。外壁のひび割れや塗装の剥がれ、屋根のサビ、水回りの水漏れなどが起こりやすくなります。
これらの劣化は、建物の老朽化や住環境の悪化につながる可能性があります。定期的な点検やメンテナンスを怠らず、早めの対応が重要です。
まとめ
注文住宅のメンテナンスは、定期的な点検と適切な処置が必要です。構造体、屋根、外壁、内装など、建物全体を支える要素には、それぞれメンテナンス時期があります。とくに新築10年目は重要であり、瑕疵担保責任保険の期限や建物の劣化の兆候に注意が必要です。適切なメンテナンスをおこなうことで、建物の寿命を延ばし、快適な住環境を保てます。