
注文住宅を建てる際によくある悩みとして「ハウスメーカーと工務店のどちらに依頼すればいいのかわからない」というものがあります。家づくりは人生における大きな買い物なので、施工会社選びには慎重になるものです。そこで本記事では、ハウスメーカーと工務店の違いや、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
ハウスメーカーと工務店の違い
ハウスメーカーと工務店は、住宅の建築においてそれぞれ異なる特徴や強みを持っています。大きな違いとして、コスト、プランの自由度、サービス体制などが挙げられます。
ハウスメーカーの特徴
ハウスメーカーとは、全国規模で展開している住宅会社で、独自のブランドを持ち、全国に支社や支店を展開しています。そのため、工法や品質の管理体制、マニュアル、アフターサービスなどが統一されており、安定したサービスが受けられるのが特徴です。
元々はプレハブ住宅メーカーとして発展し、大量生産・大量供給を可能にするために、軽量鉄骨やパネルなどを使った住宅供給を行ってきました。
現在では「自社工場を持ち、住宅を全国に供給できる会社」として認識されています。総合住宅展示場に出展している企業や、テレビCMを展開している企業の多くはハウスメーカーとされますが、規模の大きい地域工務店が該当する場合もあります。
工務店の特長
一方、工務店は地域に根差して活動しており、主に地元での施工に特化しています。小規模な会社では、社長自らが職人として現場に出るケースも珍しくありません。最近では、全国的に展開する工務店も見られるようになっており、一概に小規模とは限りません。工務店は以下の3つに分類できます。
・地域密着型(小規模):年間20棟未満の施工を行い、地域ごとに限定されたエリアで営業するタイプ。
・フランチャイズ型:本部の工法や規格を採用し、コスト削減や技術共有が可能。
・中堅ビルダー型:住宅展示場への出展や複数支店の展開など、ハウスメーカーに近い規模と体制を持つ。
工務店は、マニュアル化されていない分、施主の要望に応じた自由度の高いプランニングが可能で、細部にこだわった家づくりがしたい人に適しています。
ハウスメーカーのメリット・デメリット
ここからは、ハウスメーカーを選ぶメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
ハウスメーカーのメリットは、大きく分けて4つあります。まずブランド力が高く、テレビCMや住宅展示場などを通じて知名度があり、信頼感があることです。また、有名なハウスメーカーで建てた住宅は、将来売却する際にも有利になることがあります。
次に、工期が短い点も特徴です。資材の加工が工場で事前に行われ、現場では組み立て中心になるため、平均で2.5〜4ヵ月とスピーディに完成します。
さらに、住宅の品質や性能が安定している点も大きなメリットです。マニュアル化された工程や工場生産により、一定レベル以上の品質が保証されます。そして、アフターサポート体制の充実も大きな魅力です。専門部署や子会社があることも多く、定期点検や保証制度も整っています。
デメリット
デメリットとしては、設計の自由度が低いことが第一に挙げられます。規格化された部材や制限のあるプランの中から選ぶ形式が多いため、完全な自由設計を望む人には不向きです。また、特殊な土地には対応できない場合もあるため、事前の相談が重要です。
次に、柔軟な対応がしにくい点も挙げられます。規格外の希望を出すと、追加費用が発生する可能性があり、カスタマイズの自由度は工務店に劣ります。そして、費用が高めなこともデメリットのひとつです。
広告宣伝費やモデルハウスの維持費などが価格に反映されるため、工務店に比べて高額になる傾向があります。一方で、大量仕入れによるコスト削減で、ローコスト住宅のプランを持つハウスメーカーも存在します。
工務店のメリット・デメリット
最後に、工務店に家づくりを依頼するメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
工務店のメリットは主に3つあります。1つ目は、費用が安いことです。ハウスメーカーのように広告や展示場に多額の費用をかけていないため、建築コストが抑えられます。地域密着型の工務店であれば、施主の予算に応じた柔軟な設計提案も可能です。
2つ目は、設計の自由度が高い点です。規格に縛られず、間取りやデザインに個性を反映しやすいため、他にはないオリジナル住宅を希望する人に適しています。3つ目は、評判がわかりやすい点です。地域での口コミや評判をもとに業者選びができるため、安心して依頼しやすいのが特徴です。
デメリット
一方で、デメリットも存在します。まず、工期が長い点が挙げられます。オーダーメイドの家づくりであるため、資材の調達や施工に時間がかかり、半年以上かかるケースもあります。
また、技術・品質に差がある点も懸念されます。職人の腕に左右されるため、依頼する工務店によって仕上がりの差が出る可能性があり、事前に評判などの確認が重要です。
また、メンテナンス費用が不明瞭になることもあります。特殊な設備やデザインがある場合は、点検・修繕費用が高くなることがありますが、設計段階での相談である程度解消可能です。
さらに、完成後の住宅がイメージしにくい点もあります。ハウスメーカーのように展示場を持たない工務店が多く、図面のみで判断しなければならない場合もありますが、見学会などを活用すれば具体的なイメージを得やすくなります。
まとめ
注文住宅を建てる際に迷いやすい「ハウスメーカー」と「工務店」の違いについて、本記事ではその特徴、メリット・デメリットをていねいに解説しました。ハウスメーカーは品質や工期、アフターサービスの面で安心感がある一方、費用や設計の自由度に制限があります。対して工務店は、費用を抑えながら自由度の高い家づくりができ、地域密着ならではの信頼性も魅力です。理想の住まいを実現するためには、ライフスタイルや予算、希望する家のスタイルに合わせて、どちらがより自分に合っているかを見極めることが大切です。この記事を参考に、後悔のない住宅会社選びを進めましょう。